2011年12月26日

「へんなしごとの意味」 中1NМ君

最近中学生がよく取り組んでいる哲学作文です。
今回紹介する中1のNМ君は、もともとはあまり国語が得意ではありませんでした。私立中学合格後も、進学校で勉強が忙しいにも関わらず、通い続けてくれています。いわく「楽しいから」だそうです。

「子どものための哲学対話」へんなしごとの意味 原文一部抜粋
ぼく:将棋をさす仕事とか、ひとが書いた小説や演奏した音楽を批評するしごとなんて、存在する意味があるのかな? そんなしごと、なくてもいいんじゃないかって思うんだけど。
ペネトレ:それはちがうよ(中略)外の世界にいる人から見ると、なんだかこっけいに思えるかもしれないけど、内側からみれば、そういう人はぜひとも必要とされているんだよ。

作文
なくてもいいように見える仕事も意味はある。人間というのは楽しむために生きている。すると、高度な水準に達したために役立つようなものも必要になってくる。たとえば、ソムリエはワインを飲まない人からみるとただのキザ野郎としか思われないが、ワインをたしなむ人には、自分の好みを探してくれたりするので必要な仕事だ。つまり、仕事というのは、必要とおもってくれる人がいるかぎり存在するが、そういう人がいなくなるとなくなってしまうのだ。

【講評】
文の構成などにまだまだ改善の余地はありますが、原文を読んだだけで講師の手を借りず、自力で考えた具体例は的確でした。仕事が存在するのは、必要とするものがある証拠であるという解釈・結論もよく考え付いたと思います。

posted by まつさくら at 21:11| Comment(0) | 哲学作文

2011年12月15日

「強さ」について 中2のHYさん

「哲学」ブームでしょうか。マイケル・サンデル氏の中継授業は高視聴率をとり、「これから正義の話をしよう」という著書もベストセラーです。
日本の哲学者の本もベストセラーが多くあります。永井均著「子どものための哲学」という本もその一つ。哲学の諸説についての解説書ではなく、「哲学は、(大人になるにつれて忘れてしまうような)<子ども>の問いを持ち続けることで誰でもできること」とし、ふと感じる疑問や悩みから深く考えを進めていきます。中学・高校入試にもよく出題されました。これをさらに読みやすく考えやすく、しかし考えるように仕向けた本が「子どものための哲学対話」という本です。「哲学」が何かを知らない人でも、考える楽しみを味わえます。
本文は、「ぼく」と「ペネトレ」の比較的抽象的な哲学的対話。私はこれを論理的文章構成(俗にいう三角ロジック)が書けるようになった生徒に、具体的な状況をクリエイトして書く教材として用いています。
「哲学」他、抽象的な内容の文章が出てきたとき、本当には理解していなくても、それなりの答えを作って、納得してしまうことがあります。私たちが一番よく言うのは「分かったフリをしないこと」。講師と対話しながら、自分で自分の考えを深め、「とりあえず解を仕上げる」ではなく、自分なりに納得して理解したことを文章にまとめ他の人に伝える、という作業をしています。
思春期の悩み多き時、こうした思索・知的冒険が彼らの人生によい選択と満足を与えられると信じています。

今回その「哲学作文」の作品として紹介するのは、中2のHYさん。大変な読書家であると同時に、クリエイトしていく力も持った、そして納得いくまで考えられる忍耐強い女の子です。

【「強さ」について 原文一部引用・要約】
ペネトレ:一生懸命やったことなら、後悔することはないさ。そうでしかありえなかったのだから、それでいいんだよ。
ぼく:だれかがそういってなぐさめてくれれば、安心できるんだけど。。。
ペネトレ:そう思うなら、自分で自分がいいと思えずに悩んでいる人に、そのありかたのままそのままでいい、と心から思って言ってやればいい。でも、自分自身の時それを人に期待してもムダだよ。自分の場合は自分自身で「これでいいんだ」って思わないとね。ほんとうにそれができることが「強い」ってことなんだよ。

【作文】
 本当の強さとは、自分の結果を受け止められるようになることである。それが悪い結果であっても、同じである。
 たとえば、リストカットをする人がいる。自殺がしたいのにできない人、または手首を切ることで自分の存在を確かめようとしている人だ。自殺がしたいのにできないのは、自分を自殺というところまで追いつめた環境に怒りを感じているからだ。しかし、本当に自殺なんてできない。そうして自分という存在を認めなくて、自分自身を追い詰めている。また、リストカットにより自分の存在を確認している人は、リストカットという行為により、実在している本当の自分から逃げている。本人は苦しいだろうが、ここに認める強さがなければ抜け出せない。
 本当の強さというものは、自分の結果を受け止め、ありのままの自分を認めて生まれる。そして、自分を少しずつ成長させていくことが大切なのだ。


【講評】
「強さ」とは何か、彼女は原本を何度も読み、逆に「弱い人」の原因について思い至るようになりました。これは私にも思いがけない展開でした。ぜひ、「強さ」についても次は思索を深めてもらいたいものです。
posted by まつさくら at 01:18| Comment(0) | 哲学作文